4ページ目 俵一也日記

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宴もたけなわ……ならぬ9月もたけなわというやつで。 この時期にしてようやく残暑も過ぎ去り、涼しい風が日々頬を撫でるようになった。 そんな秋の夕暮れの道路沿いに伸びる道に怪しい男女が4人、街路樹の陰に寄り添っていた……。 「……なぁ俺帰っていいか?」 「何をたわけた事を……トラ! お前のためにやってんだろ? 俺だって本当はこんなことやりたくねぇんだぞ?」 「そう言うならそのだらしなく上がった口角を下げたまえ美鶴くん」 コソコソニヤニヤと気味悪く隠れつつ移動する4人の内の2人……虎井竜巳(トライタツミ)と桐島美鶴(キリシマミツル)は、彼らの通う坂上高校の制服に何故かサングラスをかけるという気味悪さに拍車をかける出で立ちだ。 先程から通行人の視線が後頭部にチクチク刺さっている。そのうち出血するんじゃなかろうか。めっちゃ痛い。
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