4ページ目 俵一也日記

8/50
前へ
/215ページ
次へ
「ちょっとその日は家族で出かけてて……」 と梨子。 「私は寝てて明里のメールに気づかなくって。えへ」 と宮。 そんな2人を明里はぶすーっと睨み、 「いいのっ、こんな薄情者どもはほっといて! とにかく、あたしは街を歩いてたの。ふらふらと。そしたら――」 と意味なくタメて、 「俵くんがVeryベリーに入っていってたの!」 …………。 シーンと静まり返る教室内。校庭で騒ぐ生徒達の声がよく聞こえる。 誰かが「えっ、それだけ?」と言った声が響いた。 「それだけって……一大事じゃん!」 その誰かに明里が反論する。 美鶴が明里の肩に手を置き、なだめるようにゆっくりと、やさしく言う。 「あのな柿元、カズだって人間なんだ。あんな辛辣ドSだけど……。人間なんだからファミレスでメシだって食うさ。全然、普通のことだ。わかったな? はい終わり」 「あ、でも……」 集団に背を向け、去って行こうとする美鶴に明里は言った。 「でも、女の子とだよ?」 「それを早くYEAH(言えーい)!!」 美鶴はくだらない事を言いながら盛大にズッコケた……。
/215ページ

最初のコメントを投稿しよう!

691人が本棚に入れています
本棚に追加