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「ちょっとその日は家族で出かけてて……」
と梨子。
「私は寝てて明里のメールに気づかなくって。えへ」
と宮。
そんな2人を明里はぶすーっと睨み、
「いいのっ、こんな薄情者どもはほっといて! とにかく、あたしは街を歩いてたの。ふらふらと。そしたら――」
と意味なくタメて、
「俵くんがVeryベリーに入っていってたの!」
…………。
シーンと静まり返る教室内。校庭で騒ぐ生徒達の声がよく聞こえる。
誰かが「えっ、それだけ?」と言った声が響いた。
「それだけって……一大事じゃん!」
その誰かに明里が反論する。
美鶴が明里の肩に手を置き、なだめるようにゆっくりと、やさしく言う。
「あのな柿元、カズだって人間なんだ。あんな辛辣ドSだけど……。人間なんだからファミレスでメシだって食うさ。全然、普通のことだ。わかったな? はい終わり」
「あ、でも……」
集団に背を向け、去って行こうとする美鶴に明里は言った。
「でも、女の子とだよ?」
「それを早くYEAH(言えーい)!!」
美鶴はくだらない事を言いながら盛大にズッコケた……。
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