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男は一つため息をついて、喋りだした。
「まあ、そう急かすなよ。君の親父さんから、君に伝言を頼まれててね」
伝言……?
どうして、
「どうして、父を殺したっていうあなたが、伝言を頼まれるんですか?」
男はじっと僕を見つめる。
「そーゆう、鋭い、というか頭の回転が速いとこ。あいつそっくりだな」
答えを急ぎすぎるとこもな。
そんな風にぼやいてお茶に口をつける。
男の口調は、僕を刺激する。
いらつく。
「父は死んだんですよね?」
「死んだよ。俺が、殺した」
目も合わせずに男は言う。
そうか、僕の父は、死んだのか……。
それは何度聞いても現実感が湧かない言葉だった。
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