ココニイルコト

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しかし、男は怪訝な顔を向けて帰りそうにもない。 睨み合ってると男はふぅと息を吐いた。 「別にお前を殺そうなんざ思ってないさ。……それにな」 男はたっぷり間を作る。 「お前には話さなきゃならん事があるんだ。それだけ話したら帰るからよ」 確かに……、気にはなっている。 “親父を殺した”とは……どういう意味なのか。 聞かなければいけない、そんな気もしてる。 けどなぁ……、 「……わかったよ。話し聞いたら帰ってくれよ」 「おう、美味い菓子じゃなきゃ、襲っちまうぞ。ガハハ」 そう言って笑いながら、靴を脱いでいる。 (笑えるか……) しぶしぶ僕は部屋へ戻り、ハロウィンゲストを招く事を決めた。 「まぁ、話し聞いたら“帰れ”なんて言えなくなるさ……」 玄関での男の独り言は、僕には聞こえなかった。
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