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後日都合の良い日を連絡しますと告げて 俺は得意先を後にした
正直 あんな事があった車に戻りたくはなかったが 仕事だから仕方がない
おそるおそる窓から中を覗いてみる
別段変わった所はなさそうだが あの ろうそくのように真っ白な腕を思い出すと 鳥肌が立った
「南無阿弥陀仏…」
効果があるかはわからなかったが なんとなく呟いて車のドアを開け 乗り込んだ瞬間だった
キィィィィィィィィィン…
突然耳なりがして 思わず目をつぶる
と 一瞬 まぶたの裏に女の顔がよぎった
今朝の女か!?
あの不気味な笑みを思い出したくもなかったので パッと目を開けるとそこに
おびただしい数の手形が フロントガラスいっぱいについていた…
俺は声も出せずに 震える指で 礼子さんに電話をかけた
「すみません さっきの話 至急でお願い出来ますか?」
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