雷雨の夜

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雨の中、一人の男が必死に走っている。 男の顔は血の気が引いていて、青ざめている。 しばらく走り続けていると目の前に昭和ぐらいの古い民家があった。 男は、迷わず民家に入った。 中に人は誰もいない・・・ 男は息を整えると辺りを見渡す。 何か武器はないか? すると、畳みの上に無造作に鎌が置いてある。 あるだけましか・・・ 鎌を強く握りしめ、壁にもたれる。 「大丈夫だ・・・奴らもここまでは追っては来やしない」 なんだったんだ?あいつらは? さっきの出来事が脳裏に過ぎる。 「嫌だ!!兄貴!!助けて!!兄貴!!」 ・・・すまない 不意にドアの拍子が、がたがたと揺れる。 またあいつらか? 「大丈夫・・・風だ!風の音だ!頼む!」 かすれた声で呟く。 しかしその願いは叶わなかった。 拍子に誰かが指をいれ穴を開けた、何かがこちらを見ている。 「ぎゃあああああああああああ!!」 男が恐怖のあまり叫ぶ 拍子が破かれ一人の人間が入ってきて男の顔を掴み畳みに叩きつけた。 ドガッ 畳みが壊れ下の地面にめり込む。 ハッハッハッ 息が荒くなる。 人間のくせに、物凄い力だ!動けない。 上を見ると一つ人間と違う部分がある。 牙だ!異様に長い犬歯が二本 「ひっ!ひいいいっ!!」 殺される! 目をとじる、次の瞬間 ガンッ! 牙がはえている男の後頭部に丸太が突き刺さっている 「大丈夫ですか?」 誰かの声が聞こえる。 助かった・・・ と、思った瞬間!牙の男の手が動く。 「まだ・・・」 丸太を引き何度も牙の男に叩きつける! ガン!ガン!グシャ! 牙の男は完全に頭が潰れた 「もう大丈夫です。コイツらは頭を潰すと動かなくなりますから」 助けてくれた男が言った 「すまない助かったよ、俺は佐藤 健二」 「宮本 篤です、行きましょう、もっと安全な所へ」 男は体を起こすと腹に激痛が・・・自分が持っていた鎌が腹に刺さっていた。image=48851714.jpg
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