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空は、快晴。
次は三階への階段を上がっていく。"たんたん♪"とリズムよく。
確か三階の310号室に1人だけ住んでいるとか。
たんたん♪ 310号室はすぐに見つけられた。その扉の周りだけ鉢植えが大量に並べられ、見事に茂り放題。花の蕾は1つも見受けられない。
僕はその扉の数メートル前で立ち止まり、少し考える。扉を守るように生えている草、これに何か意味があるのでは…?
たんたんたんたんたんたんたんたん!
後ろから、僕ではない"誰か"が階段を登ってくる、走っているのかな?
???「三階到着!つかれ…たぁ!?」
最後の一段でつまずき、登ってきた金髪の青年はバタン!と見事に顔から床に倒れた。
ぷきゅー…と意味不明な呟きをもらしながら青年はゆっくり起きあがる。
"奇跡的に"無傷みたいだ。
???「っ…たぁー…。またやっちゃった。あれ、あなた誰ですか?」
軽くひいていた僕を見つけたのか、涙目で彼は言いこちらに走ってきた。僕のすぐ前で停止。なんでもいいけど…近い。
そして、僕はこの人を知っている。
ピット「あ…あなたは、まさかリンクさんじゃないですか!?」
???「ほ…ほえ?そうですけど…、一度どこかでお会いしましたっけ?」
ピット「やっぱりー!」
僕はぴょんっ!と飛び跳ねて、果物の入ったバスケットを床に置いて彼に握手を求めた。
彼…リンクは、僕の興奮ぶりにおされたのか左手を差し出した。僕はその手を両手でがっちりと握手し、ぶんぶんと振る。
リンク「いたいいたいっ!」
ピット「す、すいません!こんな場所でリンクさんに会えるだなんて…!」
慌てて握手をやめる。リンクはジロジロと僕の顔を覗き込むが困惑の表情は消えない。
リンク「んー…?やっぱり覚えがないですね、ごめんなさい」
そりゃそうだ。もしリンクがこちらのことを知っていたら、それこそ驚いてしまう。
ピット「僕、去年の弓道全国大会に出場したんです!その時、2つ上のリンクさんを見かけて…」
リンク「あー!あれか懐かしー…。って、俺出場してたっけ」
ピット「してましたよ!全部の矢を的中させて、単独総合優勝だったじゃないですか!!」
ちなみに僕は、力不足で総合ベスト16にも入選できず。高校1年の時の話だ。
リンク「あんまり覚えてないですねー…えーっと、名前は?」
ピット「遅れましたが、215号室に引っ越してきたピットです!」
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