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北村の手には数本の温かい缶コーヒー…
「こんばんは 釣れますか?」
北村得意の営業的なスマイル
当然、(誰だこいつ?) みたいな顔をされるが、さりげなく温かい缶コーヒーを手渡しする。
温かい物に触れて嫌な顔をする者はほとんどいない。営業で培った少ないノウハウのうちの一つだ。
「いや、今夜はダメだね。ハゼすら掛かりゃしねーよ。」
「いつもここで釣りを?」
「いつもじゃねーが、よく来るよ。」
北村はあくまでさらっと…
「そうなんですかぁ。じゃあ昨夜、ここで水死体が発見された時も?」
「あぁ、そうみてーだな。けど昨日は俺はここには居なかったな。」
このようなやり取りを四人にした。
そして、手持ちの缶コーヒーが無くなる五人目……
「ああ、そりゃ信さんだ。仏を見つけて通報したのは信さんだよ。」
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