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―四丁目―
繁華街から少しだけ離れ、大通りから小道に少し入った場所に来々軒はあった。
(ここか。)
店構えを見ると、赤いのれんは色褪せて薄くなっており、店の脇には無造作にビール瓶のケースが置かれている。お世辞にも綺麗な店とは言えない印象を受ける。
『カタ…ガラガラ……』
中には店主らしき人が一人、カウンターに肘を付き、少し高い位置にあるテレビを観ていた。
店主らしき人は一瞬、ビックリしたような顔で北村を見た。普通、客商売ではあり得ない光景だ。
「あ、いらっしゃい。」
「あ、こんばんは」
なぜかギクシャクしてる。
北村は、この店主らしき人へと歩み寄った。
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