第一話―始まりの光―

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取り乱して何をしでかすかわからない状況になっていたが、雹は落ち着いていた。 「何だよ!何で、そんなに…」 ふと気が付いた時には、雹の胸倉を掴んでいた。 「…落ち着いていられるか、か?」 雹の蒼い瞳がこちらを見ている。心を読まれたかと思ったが、自分の行動でわかったのだろうと理解した。 そして、質問に対して首を縦に振るだけで答えた。 「…付いて来い…」 雹は寂しげな顔になり、校舎に向かって歩いた。雹が何か知っているなら教えて欲しい。言われるがまま付いて行った。 「ここだ…全てはここにある…」 「図書室、だよな?」 立ち止まったところは図書室の前だった。 ゲームみたいな展開だな、と冗談混じりに思っ―まじ? 扉を開けると光輝く円が床にかかれていた。 「えーっと、何、これ?」 素直に訊ねると、魔法陣だ、と短い返事が返って来た。ゲームの世界かよ、と呟いた。 「これが『終わった世界』の全てだ…」 魔法陣はわかった。だが、重要なところがない。 どこが全部、と質問した。 「この魔法陣は異界に繋がっている、と言ったらわかるか?」 …と返される。 やっぱり夢だろと思い、思いっきり自分の頬を叩いた。激痛が走る。 「いやぁ、本格的にゲームだなぁ」 棒読みで言ったら、それこそ冗談じゃないと雹に叩かれた。 今は普通じゃない『終わった世界』にいるのだ、と現実を受け入れた。そして、魔法陣に軽く触れようとした時に、それは強い光を放った。 「っ…何だよ、これ!」 「…もう一度あそこに…もう一度…」 雹が呟いた言葉の意味はわからなかったが、光はより強くなっていくのはわかった。 「う、うわぁっ!」 光が2人を完全に包み込んだ。少し時間が経つとだんだんと光は引いていき、その中に2人の姿はなかった。
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