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取り乱して何をしでかすかわからない状況になっていたが、雹は落ち着いていた。
「何だよ!何で、そんなに…」
ふと気が付いた時には、雹の胸倉を掴んでいた。
「…落ち着いていられるか、か?」
雹の蒼い瞳がこちらを見ている。心を読まれたかと思ったが、自分の行動でわかったのだろうと理解した。
そして、質問に対して首を縦に振るだけで答えた。
「…付いて来い…」
雹は寂しげな顔になり、校舎に向かって歩いた。雹が何か知っているなら教えて欲しい。言われるがまま付いて行った。
「ここだ…全てはここにある…」
「図書室、だよな?」
立ち止まったところは図書室の前だった。
ゲームみたいな展開だな、と冗談混じりに思っ―まじ?
扉を開けると光輝く円が床にかかれていた。
「えーっと、何、これ?」
素直に訊ねると、魔法陣だ、と短い返事が返って来た。ゲームの世界かよ、と呟いた。
「これが『終わった世界』の全てだ…」
魔法陣はわかった。だが、重要なところがない。
どこが全部、と質問した。
「この魔法陣は異界に繋がっている、と言ったらわかるか?」
…と返される。
やっぱり夢だろと思い、思いっきり自分の頬を叩いた。激痛が走る。
「いやぁ、本格的にゲームだなぁ」
棒読みで言ったら、それこそ冗談じゃないと雹に叩かれた。
今は普通じゃない『終わった世界』にいるのだ、と現実を受け入れた。そして、魔法陣に軽く触れようとした時に、それは強い光を放った。
「っ…何だよ、これ!」
「…もう一度あそこに…もう一度…」
雹が呟いた言葉の意味はわからなかったが、光はより強くなっていくのはわかった。
「う、うわぁっ!」
光が2人を完全に包み込んだ。少し時間が経つとだんだんと光は引いていき、その中に2人の姿はなかった。
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