71人が本棚に入れています
本棚に追加
「さすが」
ダギとよく似た黒い狼が、にやりと笑う。
「俺が一度気配を消したら、誰も気づかないのにな」
デューは優雅に起き上がって、体についた草を振り落とした。
ダギよりひとつ年下でまだ成人はしていないが、体格はほぼ同じだ。
全身の毛も漆黒なら、瞳も漆黒だったし、耳の位置や形、尾の長さ、生まれ持った匂いまでがダギとそっくりだった。
誰かから聞いたことには、自分たちは父親も母親も同じ、正真正銘の兄弟であるらしい。
ダギには父親違いの兄弟も母親違いの兄弟も何人かいるようだったが、気を許せるのはデューだけだ。
最初のコメントを投稿しよう!