安寧の碑

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だが、それも男たちが近寄ってくる前までだった。 周囲の狼たちと目が合った瞬間、彼は急に大人しくなった。 耳と尾がうなだれ、地面に腰をつける。 村長が笑顔でねぎらいの言葉をかけてきた。 「やはり強いな、おまえは」 ダギの口がぎこちなく緩んだ。 どんな顔をすればいいのかわからない。 勝利の興奮も、褒めてもらった喜びも、急速に縮んでいった。
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