危険な好奇心

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体中に赤い斑点。 確かにジンマシンだった。俺は 『ジンマシンなんて薬塗ってたら治るやん。』 と言うと、淳が、 『これ、あの女の呪いや・・・』 と言いながら背中を見せて来た。 確かに背中も無数にジンマシンがある。 慎が 『何で呪いやねん。もう忘れろ!』 と言うと 淳は 『右の脇腹見て見ろや!』 と少し声を荒げた。 右の脇腹・・たしかにジンマシンが一番酷い場所だったが、なぜ『呪い』に結び付けるかが解らなかった。 すると淳が 『よく見ろよ!これ、顔じゃねーか!』 よく見て俺と慎は驚いた。確かに直径五㌢程の人、いや、女の顔のように皮膚がただれて腫れ上がっている。 俺と慎は 『気にしすぎだろ?たしかに顔に見えないことも無いけど。』 と言ったが、 『どー見ても顔やんけ!俺だけやっぱり呪われてるんや!』 と言った。 俺と慎は淳に掛ける言葉が見つからなかった。と言うより淳の雰囲気に圧倒された。 いつもは温厚で優しい淳が・・少し病んでいる。青白い顔に覇気のない目、きっと精神的に追い詰められているのだろう。 俺と慎は急に淳の家に居づらくなり、帰ることにした。 帰り道、俺は慎に 『あれ、どー思う?呪いやろか?』 と聞いた。 慎は 『この世に呪いなんてあらへん!』 と言った。なぜかその言葉に俺が勇気づけられた。 それから三日過ぎた。依然、淳は学校には来なかった。 俺も慎も淳に電話がしづらく、淳の様子は解らなかった。ただクラスの先生が『風疹で淳はしばらく休み』と言っていたので少し安心していた。 しかし、この頃から学校で奇妙な噂が流れ始めた。 【学校の通学路にトレンチコートにサンダル履きのオバさんが学童を一人一人睨むように顔を凝視してくる】 という噂だ。
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