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その噂を聞いた放課後、俺は激しく動揺した。何故なら俺は唯一、間近で顔を見られている。
慎に相談した。
慎は
『大丈夫!夜やったし見えてないって!それにあの日見られてたとしても、忘れてるって!』
と、俺を落ち着かせる為か、意外と冷静だった。
何よりも嫌だったのが、俺と慎は通学路が全くの正反対。
俺と淳は近所なのだが、淳が休んでいる為、俺は一人で帰らなければいけない。
俺は慎に
『しばらく一緒に帰ろうよ!俺、恐い。』
と慎に頼んだ。慎は少し呆れた顔をしていたが、
『淳が来るまでやぞ!』
と行ってくれた。
その日から、帰りは俺の家まで慎が付き添ってくれる事になった。
その日から慎と帰ることになった。
その日は学校で噂の『トレンチコート女』(推定・中年女)には会わなかった。
次の日も、その次の日も会わなかった。
しかし、学校では相変わらず【トレンチコートの女】の噂は囁かれていた。
慎と一緒に下校することになり五日目、俺達は久しぶりに淳の見舞いに行くことにした。
お土産に給食のデザートのオレンジゼリーを持って行った。
淳の家に着き、チャイムを押した。いつもの様に叔母さんが明るく出て来て俺達を中に入れてくれた。
淳は相変わらず元気が無かった。ジンマシンは大分消えていたが、淳本人は
『横腹の顔の部分が日に日に大きくなっている。』
と言っていたが、俺と慎には全く解らなかった。むしろ、前回見たときよりはマシになっているように見えた。
精神的に淳はショックを受けているのだろう。
俺達は学校で流れている『トレンチコートの女』の噂は淳には言わなかった。
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