危険な好奇心

19/67
前へ
/67ページ
次へ
俺は焦った。 平常心を保つのに必死だった。 一瞬見た顔であの日の出来事がフラッシュバックし、心臓が口から出そうになった。 間違いない。『中年女』だ! 俺はうつむきながら歩き過ぎた。 俺はいつ襲い掛かられるかとビクビクした。 どれくらい時が過ぎただろう。いや、ほんの数秒が永遠に感じた。 内藤が 『あの目見たけ?あれ完全にイッテるぜ!』 と笑った。 佐々木も 『この糞暑いのにあの格好!ぷっ!』 と馬鹿にしていた。 俺と慎は笑えなかった。 佐々木が続けて言った 『やべ!聞こえたかな?まだ見てやがる!』 俺はとっさに振り返った。 『中年女』と目が合った・・・ まるで蝋人形のような無表情な『中年女』の顔がニヤっと、凄くイヤらしい微笑みに変わった。 背筋が凍るとはこの事か。。。 俺は生まれて始めて恐怖によって少し小便が出た。 バレたのか?俺の顔を思い出したのか?バレたなら何故襲って来ないのか? 俺の頭はひたすらその事だけがグルグル巡っていた。 内藤が 『うわーっ、まだこっち見てるぜ!佐々木!お前の言った悪口聞かれたぜ!俺知らねーっ!』 っとおどけていた。
/67ページ

最初のコメントを投稿しよう!

644人が本棚に入れています
本棚に追加