危険な好奇心

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明日の放課後、裏山に行く。 その話がまとまり、俺達は家に帰ろうとしたが、『中年女』が何処に潜伏しているか解らない為、俺達は恐ろしく遠回りした。 通常なら20分で帰れるところを二時間かけて帰った。 家に着いて俺はすぐに慎に電話した 『家とかバレてないかな?今夜きたらどーしよ!』 などなど。 俺は自分で自分がこれほどチキンとは思わなかった。 名前がバれ、小屋に『淳呪殺』と彫られた淳が精神的に病んでいるのが理解できた。 慎は 『大丈夫、そんなすぐにバレないよ!』 と俺に言ってくれた。 この時俺は思った。普段対等に話しているつもりだったが、慎はまるで俺の兄のような存在だと。 もちろんその日の夜は眠れなかった。 わずかな物音に脅え、目を閉じれば、あのニヤッと笑う中年女の顔がまぶたの裏に焼き付いていた。 朝が来て、学校に行き、授業を受け、放課後、 午後3時半。。 俺と慎は裏山の入口まで来た。 俺は山に入るのを躊躇した。 『中年女』 『変わり果てたハッピーとタッチ』 『無数の釘』 頭の中をグルグルと鮮やかに『あの夜の出来事』が甦ってくる。 俺は慎の様子を伺った。慎は黙って山を見つめていた。慎も恐いのだろう。 『やっぱ、入るの恐いな・・・』 と言ってくれ!と俺は内心願っていた。
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