644人が本棚に入れています
本棚に追加
明日の放課後、裏山に行く。
その話がまとまり、俺達は家に帰ろうとしたが、『中年女』が何処に潜伏しているか解らない為、俺達は恐ろしく遠回りした。
通常なら20分で帰れるところを二時間かけて帰った。
家に着いて俺はすぐに慎に電話した
『家とかバレてないかな?今夜きたらどーしよ!』
などなど。
俺は自分で自分がこれほどチキンとは思わなかった。
名前がバれ、小屋に『淳呪殺』と彫られた淳が精神的に病んでいるのが理解できた。
慎は
『大丈夫、そんなすぐにバレないよ!』
と俺に言ってくれた。
この時俺は思った。普段対等に話しているつもりだったが、慎はまるで俺の兄のような存在だと。
もちろんその日の夜は眠れなかった。
わずかな物音に脅え、目を閉じれば、あのニヤッと笑う中年女の顔がまぶたの裏に焼き付いていた。
朝が来て、学校に行き、授業を受け、放課後、
午後3時半。。
俺と慎は裏山の入口まで来た。
俺は山に入るのを躊躇した。
『中年女』
『変わり果てたハッピーとタッチ』
『無数の釘』
頭の中をグルグルと鮮やかに『あの夜の出来事』が甦ってくる。
俺は慎の様子を伺った。慎は黙って山を見つめていた。慎も恐いのだろう。
『やっぱ、入るの恐いな・・・』
と言ってくれ!と俺は内心願っていた。
最初のコメントを投稿しよう!