危険な好奇心

22/67
前へ
/67ページ
次へ
慎はズボンのポケットからインスタントカメラを取り出し、右手に握ると、俺の期待を裏切り、 『よし。』 と小さく呟き、山へ入るとすぐさま走りだした。 俺はその後ろ姿に引っ張られるように走りだした。 慎は振り返らずに走り続ける。 俺は必死に慎を追った。一人になるのが恐かったから必死で追った。 今思えば慎も恐かったのだろう。恐いからこそ周りを見ずに走ったのだろう。 『あの場所』が 徐々に近づいてくる。 思い出したくもないのに『あの夜』の出来事を鮮明に思いだし、心に『恐怖』が広がりだした。 恐怖で足がすくみだした時、『あの場所』に着いた。 そう、 『中年女が釘を打っていた場所』 『中年女がハッピー、タッチを殺した場所』 『中年女に引きずり倒された場所』 中年女と出会ってしまった場所
/67ページ

最初のコメントを投稿しよう!

644人が本棚に入れています
本棚に追加