危険な好奇心

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しかし俺は、、 俺達は、 『そーだよな!そのうち俺らのことなんて忘れよる!』 『もう忘れとるって!』 『なんだよチクショー!ビビって損した!』 『ほんま、あの女、泣かしたろか!』 とお互い強がって見せた。ある意味やけくそに近いかもしれない。 しばらくその場で慎と『中年女』の悪口など、談笑していた。 辺りは薄暗くなり始め、俺達は帰宅することにした。 慎と別れる道に差し掛かって、 『明日の帰り、淳の様子見に行こっか!』 『おう!そやな!』 とお互い明るく振る舞って手を振り別れた。 俺の心は少し晴れやかになっていた。 『そーだよな・・慎の言う通り、中年女はもう俺達の事なんて忘れてるよな・・』 と。 まるで自己暗示のように繰り返し言い聞かせた。 足取りも軽く、石を蹴りながら家に向かった。 空を見上げると雲も無く、無数の星がキラキラ輝き、とても清々しい夜空だった。 今まで『中年女』の事でウジウジ悩んでいたのが馬鹿らしく思えた。 自宅に近づき、その日は見たいアニメがあるのに気付き、俺は小走りで家に向かった。 『タッタッタッタッ、、、』 夜の町内に俺の足跡が響く。 『タッタッタッタ、、、』 静かな夜だった。 『タッタッタッタッ、、、』 ん? 『タッタッタッタ・・』 俺の足音以外に違う足音が聞こえる。 後ろを振り向いた。 暗くて見えないが誰もいない。気のせいか。。 ナンダカンダ言って俺は小心者だなと思いながら再び走った。 『タッタッタッタッ。。。』 『タッタッタッタ・・』 ・・ん?誰かいる。
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