危険な好奇心

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俺はもう一度立ち止まり、目を凝らして後ろを眺めた。 ・・・やっぱり誰もいない・・ 確かに俺の足音にマジって後ろから誰かが走ってくる足音が聞こえたのだが?! 俺も淳のように自分でも気付かないうちに精神的に『中年女』追い詰められているのか?ビビり過ぎているのか? しばらく立ち止まり、ずーっと後ろを眺めた。 ドックンドックン鼓動を打っていた心臓が、一瞬止まりかけた。 15メートル程後方、民家の玄関先に停めてある原付きバイクの陰に誰かがしゃがんでいる。 いや、隠れている。 月明かりでハッキリ黙視できないが一つだけハッキリと見えたものがある。 『コートを着ている!』 しばらく俺は固まった。 隠れている奴は俺に見つかっていないと思っているようだが、シルエットがハッキリ見える! 俺は一瞬混乱した。 『中年女だ!中年女だ!中年女だ!中年女!中年女!』 腰が抜けそうになったが、本能だろうか、次の瞬間 『逃げなきゃ!逃げなきゃ!逃げなきゃ!逃げなきゃ!逃げなきゃ!逃げなきゃ逃げなきゃ!』 ともう一人の俺が、俺に命令する。 俺は思いッキリ走った!運動会の時より必死に走った。もう風を切る音以外聞こえない程、無呼吸で走った。 無我夢中で家に向かって走った。 家まであと10メートル。 よし!逃げ切れる! 『!』 一瞬、頭にあることがよぎった。
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