危険な好奇心

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 このまま家に逃げ込めば  間違いなく家がバレる! 俺はとっさに自宅前を通過し、そのまま住宅街の細い路地を走り続けた。 当てもなく、ただ俺の後方を着いて来ているであろう『中年女』を巻く為に。。。 5分ほど、でたらめな道を走り続けた。 さすがに息がキレて来て歩きだし、後ろを振り向いた。 もう、『中年女』らしき人影も足音も聞こえて来ない。 俺は周囲を警戒しつつ、自宅方面へ歩き始めた。 再び自宅の10メートル程手前に差し掛かり、俺はもう一度周囲を警戒し、玄関にダッシュした。 両親が共働きで鍵っ子だった俺はすばやく玄関の鍵を開け、 中に入り、すばやく施錠した。 『。。。フぅー。。』 安堵感で自然とため息が出た。 とりあえず慎に報告しなければと思い、部屋に上がろうと靴を脱ごうとした時、玄関先で物音がした。 『!?』 俺は靴を脱ぐ体制のまま固まり、玄関扉を凝視した。 俺の家の玄関は曇りガラスにアルミ冊子がしてある引き戸タイプなのだが、曇りガラスの向こう側に。。。 玄関先に誰かが立っている影が映っていた。 玄関扉を挟んで1メートル程の距離に『中年女』がいる! 俺は息を止め、動きを止め、気配を消した。 いや、 むしろ身動き出来なかった。 まるで金縛り状態・・・『蛇に睨まれた蛙』とはこのような状態の事を言うのだろう。 曇り硝子越しに見える『中年女』の影をただ見つめるしか出来なかった。 しばらく『中年女』はじっと玄関越しに立っていた。微動すらせず。 ここに『俺』がいることがわかっているのだろうか?・・。 その時、硝子越しに『中年女』の左腕がゆっくりと動き出した。 そして、ゆっくりと扉の取手部分に伸びていき、 『キシッ!』 と扉が軋んだ。
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