危険な好奇心

7/67
前へ
/67ページ
次へ
その女との距離が縮まるたびに 『コン!コン!』 以外に聞こえてくる音があった。 いや、音と言うか、 女はお経?のような事を呟いていた。 少し迂回して、俺達はその女の斜め後方8㍍程の木の陰に身を隠した。 その女は肩に少し掛かるぐらいの髪の長さで、痩せ型、足元に背負って来たリュックと電灯を置き、写真?のような物に次々と釘を打ち込んでいた。 すでに6~7本打ち込まれていた。 その時、 『ワン!』 俺達はドキッとして振り返った、そこにはハッピーとタッチが尻尾を振ってハァハァいいながら「なにしてるの?」と言わんような顔で居た。 次の瞬間、慎が 『わ゛ぁー!!』 と変な大声を出しながら走り出した。 振り返ると、鬼の形相をした女が片手に金づちを持ち、 『ア゛ーッ!!』 みたいな奇声を上げ、こちらに走って来ていた。 俺と淳もすぐさま立ち上がり慎の後を追い走った。 が、俺の左肩を後ろから鷲づかみされ、すごい力で後ろに引っ張られ、俺は転んだ。 仰向きに転がった俺の胸に『ドスっ』と衝撃が走り、俺はゲロを吐きかけた。 何が起きたか一瞬解らなかったが、転んだ俺の胸に女が足で踏み付け、 俺は下から女を見上げる形になっていた。
/67ページ

最初のコメントを投稿しよう!

644人が本棚に入れています
本棚に追加