79人が本棚に入れています
本棚に追加
僕の初めてはいつもアナタでした。
初めての友達もアナタ。
初めて好きになったのも、恋人になったのも、キスをしたのも、セックスをしたのも。
僕が「大好き」と言うと、アナタは笑うだけ。
何も言ってくれなかったけど、アナタがいてくれるだけで嬉しかったです。とても、とても嬉しかったです。
幸せでした。
アナタが僕の家に住む事になりました。
毎晩一緒に寝ました。
でも、いつしかアナタは一緒に寝てくれなくなりました。
その頃から、アナタの帰りが遅くなりました。僕が話し掛けても何も言ってくれないで笑ってもくれません。
寝室から、声が聞こえるようになりました。
僕達の寝室から、アナタと僕じゃない声。
そして、今も。
「ふ、はは…ぁは…」
僕が隣りの部屋にいるのに。
アナタは僕の恋人なのに。
どうして?どうして…?
渇いた笑い声が止まらない。
「あはっ、フははは…っ!」
涙が止まらない、笑いが止まらない。
「あははハははハははハハっははハははアははははは!」
隣りにも聞こえたのでしょう、半裸のアナタが僕の部屋の扉を開けました。
「なつ…?」
アナタは僕の名前を呼びました。それでも、僕の笑いは止まらない。
「ふフふふ、なぁに?僕に何か用なの?ふふッ!」
僕が応えると、アナタは僕を汚いモノでも見るような目になりました。
「気持ち悪ぃな…早く消えろよ」
――何かが、崩れた音がしました。
「あハっあははははハハハはははははははハははははハははははハはははっはははははっははハはははは!」
僕は狂ったように笑う、わらう、ワラウ。
「ふフフふふっちょっと待ってねっ!」
僕はベランダに向かいます。
窓を開け、アナタに振り返り、
「サ ヨ ウ ナ ラ」
僕は、墜ちた。
最後に見えたアナタは―――
End
最初のコメントを投稿しよう!