鬼瓦 花梨

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「晋一郎。すまん」 そう棒読みしてから、ヨシノは肩越しに醤油差しを晋一郎に投げ付ける。 醤油差しから解放された黒い液体は、晋一郎の制服、果ては中のシャツまでも漆黒に染め上げた。 「あ、てめっ!! 何しやがる!!」 晋一郎は急いで制服を脱ぎ、汚れを落とそうとするが既に繊維まで浸透してしまったため手の施しようがなかった。 「あぁどうしてくれんだよ。二着も制服持ってねえのによぉ」 「ふふ。案ずるな。私にかかればその程度の汚れを落とすなど造作もないことよ」 ヨシノは制服を取り上げて、染みが付着した箇所に手を翳す。 「そもそも私たち悪魔が使う魔術は魔法使いが使うそれとは大きく異なる。あっちが本家だとすれば、こちらは完全なる我流だ。魔法使いは魔法陣を張り、呪文を唱えるが、悪魔の使う魔術は違う。単に身体中を巡る魔力を搾り、コード認証した後に魔術発動…って良く分からないか?」 「あ、ああ正直何がなんだか。つまりあれか? ヨシノたちが使う魔術は魔法使いとは違うんだよな」 「ん。ああまあな(それ今私が言った…)。まあ見てれば分かるさ」 ヨシノはおもむろに目を瞑る。 しばらくすると、その身体が蒼白く光り始める。 「良く見ておけ晋一郎。この蒼いのが紛れもない魔力だ。そしてこれから"制服"に対する"醤油"を回帰する」 ヨシノの全身を包む魔力が翳した手を伝って制服に移り、蒼白く光らせる。 「座標軸並びに時間軸の固定完了。これより回帰に入る」
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