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そこは足の踏み場もないほど散らかっていた。
教科書やら雑誌が8畳ほどの部屋に乱雑にばらまかれており、畳の上には布団というカーペットが常に敷かれている状態である。
「くそ……今度大掃除決行だな」
晋一郎は教科書を蹴散らし、敷き布団の上に少女をゆっくりと寝かす。
「う……く」
相変わらず少女は苦しそうな表情を浮かべている。
傷口からの出血は止まらず、包帯代わりのエプロンをどんどんと真紅に染め上げていく。
「くそ…一体どうすりゃいいんだ」
一人暮らしゆえに、必要最低限の生活必需品しか揃えていないため、医療品もロクなものがない。
いや、例え最高級の医療品が揃っていようとも、少女の傷を家庭で癒すことなど到底出来ないだろう。
それほどに彼女の傷は深刻だった。
「『かくまってくれ』か。まるで誰かに狙われてるみたいな言い方だな」
何故か病院へ行くことを拒み、尚且つ医療機器もない自宅への収容を望んだ少女。
とにかく謎が多い存在。
どうすることも出来ない晋一郎はただ少女の前であぐらをかくだけである。
「ん?」
ふと、視線を杖へと移した。
まるで杖自体が発光しているかのように蒼い輝きを放っている。
見ているだけで、吸い込まれそうなほどに澄んだ青色だった。
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