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男は赤々と染まった部屋を見回した。
全てが白いこの館に、唐突に増えた異端。
赤の部屋。
「……さしずめ惨劇の爪痕、か……」
男は出刃包丁のカケラを拾うと、愛おしそうに眺めた。
「……オヤスミ。そして……サヨウナラ、ユキノ」
少女の遺体は、既に部屋にはなかった。
男は赤い部屋を出ると、鍵をかける。
「……赤……か」
少女は見る事の無かった、愉悦の表情。
男は白い廊下を、コツコツと靴音をさせて歩いていった。
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