BOX2:エイジ

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  オレは、シンガーだ。   つっても、ペーペーの新人。誰も知らないって言ってもいいくらいの無名シンガー。               歌が歌いたい。   ただそれだけで家を飛び出し、運よくデビュー出来た。     ただ、そうトントン拍子に上手くいく程世の中は甘くない訳で。     「エイジ、仕事だ」   「……」     来る仕事は深夜番組ばっかりだ。 しかも歌とは全然関係ない。       ――苛々する。   そういえば、最近全然笑ってない気がする。     マネージャーから受け取った仕事概要の書類に目を通し、オレはうんざりしてしまった。     「……土屋さん。これ……」   「……やりたくないのは分かるけど、下積みがなきゃ目に止めて貰えないんだぞ?」     正論だ。   オレはソファーに顔をうずめて、大きく溜息をついた。       ――何がシンガーだよ。       社長が、オレの顔立ちを気に入ったからって……AV紛いのバラエティーに出る為に、家を出たんじゃ無いっ……!  
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