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香りと共に
金木犀が欲しい
と、急に走って行った
財布は持ったのだろうか
嗚呼、あの子のことだ…忘れているに違いない
ぱたぱたと近付く足音
息を切らせて
髪を振り乱し
そんなに急がなくとも金木犀は逃げないよ
さぁ落ち着いて行って来なさい
それでも走って行くのか
可愛らしいことだ
暫くして
今度は静かに
からからと戸を開け
ただいま
とあの子の声
嗚呼、金木犀があったんだね
君の姿共に香りも来たよ
おかえり
と言えばあの子は
にこりと笑って
金木犀、あったよ
嗚呼、香りに負けない可憐で甘い笑顔
愛しい、愛しい、
私の可愛い子
さぁ、金木犀を床の間にでも生けようか
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