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「…本当に良かったのか?」
-まもなく離陸します-
機内でアナウンスが流れる。
「いいの」
Gを感じる。
今
日本から
離れたんだ……
"他人だから"
あの日
アメリカに行く事を決意した。
アキに実際に会って
驚いたから
少し忘れたつもりでも
心はアキをあんなに求めてた
叫んでた………
忘れられないなら
置いていけばいいんじゃないかって
顔を忘れてしまうくらい
離れてしまえばいい
「真央は痩せすぎだな…アメリカに行ったらすぐ太るぞ」
アキとの思い出が無いアメリカに
偶然会う事も無いアメリカに…
行けばいいんじゃないかって
「太らないように努力するよ」
「そうか」
ははは、とお父さんが笑った。
翔子さんも、LETTERの人達も皆止めはしなかった。
"真央ちゃんが決めた事なら"
そう言って
止めるどころか背中を押してくれた。
<泣いて帰って来んなよ>
そうメールをくれた豹。
すぐに電話をかけてベランダでの事を謝った。
豹も私に謝ってくれた。
最後に何で行くなって言ったのかを聞くと、告白された。
一目惚れだって。これから先ずっと好きだって言われた……
その言葉に対して私は笑って豹にありがとう、と言った。
「アメリカの寿司はうまいぞ~」
「日本と味違うの?」
「…正直違いは分からない」
「何それ…」
お父さんと住むアメリカで私は何をするんだろう
何が
したいのかな……
霧架がどこに住んでるのか、聞けば良かった。
「お父さん」
「何だ?」
「アメリカのどこ?」
「言わなかったか?ロスだよ」
!!
知らなかった……!!!
「初めて聞いたよ!?」
「そうだったか?」
衝撃。
住民表みたいなので霧架の住所わかんないかな……
「ねえ……」
話しかけようと隣を見るとお父さんは寝ていた。
溜め息をつき窓の外を見る。
真っ白だ。
流れていく雲を見つめる。
涙が、出た。
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