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部屋をよく見渡すと女物の家具ばかりだった。
ピンク色のベッドシーツとか白い机も男が使うような家具じゃない。
私のための
部屋だ……
内側から自分でかけた鍵を自分で開けて部屋の外に出る。
リビングはどこか懐かしかった。
何で懐かしいの?
テレビや机の配置が
お父さん
お母さん
私
3人で住んでた時の家と
ほぼ一緒だった……
「お父さん……」
お父さんなりに私を大事にしてくれてたんだと思った。
近くに居ないと分からない
遠くに居て気付く程
器用じゃないよ……
アキ
私にしたキスの意味を
教えて?
「痛ッ!!」
足に鋭い痛みが走った。
5ミリほどの白い何かのかけらが落ちていた。
皿かコップか…分からないけれどきっとお父さんが割ったんだろうな。
私はその白いかけらをごみ箱の中に入れ、絆創膏を探す。
「絆創膏も無いのー…?」
引き出しは全て開けたけれど見つからない。
足の裏からは少しずつ血が出てきている。
足の裏の傷の周りが真っ赤になっていた。
「ただいま」
おとなしく部屋で和書を見ているとお父さんが帰ってきた。
「お帰り…絆創膏ない?」
「ああ、洗面所の引き出しにあるぞ。怪我でもしたのか?」
「何かのかけらで切っただけ。心配しないで」
洗面所に向かい、絆創膏をはった。
「このビルの中に使ってない会議室がある。明日からそこで英語を勉強しないか?」
「…普通に暮らしてたら何もしなくたってどうせ覚えるでしょ」
「そうかもしれないが今は色んな人と交流を深めた方がいい。
講師もアメリカ人だが日本語も話せる。いい人だからとりあえず明日行ってみなさい」
「…わかった」
正直そんなに乗り気じゃない……
ただ
"大切な人を作らないと"
翔子さんの言葉が頭をよぎった。
今はまだ第一歩。
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