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「なあ、気持ち良かった?」
「…うん。」
優太は満足そうに微笑む。
嘘に決まってるじゃん。
「つーかさ…俺…ん?」
優太の携帯が鳴る。
「あー…ちょっと行ってくるわ」
「わかった」
呼出しのメールでも来たんだろうな。
優太が居なくなって自分1人だけの屋上に寝そべり空を見上げる。
憎らしいくらいの快晴。
もう9月なのに暑い。
………
あんなに近くに居たのに………
支えてあげられなかった。
…救えなかった………
「お父さん…」
何があったの?
何を抱え込んでいたの…
「何で泣いてんの?」
ガバッ
「誰?!」
声の主を探す。
「どこ見てんの?俺はここ。」
振り返ると制服を着ている男。
「誰…?」
「…同じ学年なのに俺のこと知らないの?」
そんな事言われたって…
優太以外の男子の顔なんて覚えてないし……
「ごめん。わかんない」
ハァ……
男子はため息をついて言う。
「倉田サトシ」
「倉田サトシ…?」
倉田サトシって…聞いたことある
確か…
「あんたマラソン選手なの?」
…バカな質問した…
私の知ってる倉田サトシは確かマラソンのオリンピックに出てた。
でも本人なわけない。
「今あんた自分がバカな質問したと思った?」
「うるさい」
なんかむかつく…
まるで見透かされてるみたいで気持ち悪い。
「その息子の倉田アキだよ」
「え?」
倉田サトシの息子の倉田アキ…?
むっ息子?!
でも…からかってるだけかも……
私は疑いの目を向けて言う。
「…それほんとに言ってるの?」
「俺は嘘つかないよ」
倉田アキはニコッと笑った。
「ふーん…」
…っていうか…
「いつから見てたの……」
私と優太がしてるとこを見られているなら色々と面倒くさい。
「多分あんたが見られたくなかったとこから見てたよ」
「…ッ!!!」
全部見られてた…
最悪…
「…何したらいい?」
「は?」
「何したら黙っててくれる?」
「…」
倉田アキはじっと私を見つめている。
「ねぇってば、何したら黙っててくれる?
キス?デート?
1回やったらいい?」
何も言わない倉田アキに私が言った。
倉田アキは静かに口を動かせた。
「あんたそんな事言っていいの?」
え…?
「どういう意味…?」
「さっきの男と付き合ってるんじゃないの?」
ああ…そういうこと。
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