歳月

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うちに写真見に来るって言ったら、『うん!』って答えて、家に行く事になったんだ。 彼女(亜希)の勉強も、とことん見てあげよう。 軽く買い物をして、スーパーを出たんだ。 家に入って、いったんリビングに向かった。そこには、家族の写真が並んであるから! 亜希は近づいて、真剣に見ている。俺は、テーブルの上に、買ってきたジュースとお菓子を並べたんだ。 『…想像してたお父さんと、ちょっと違う!』 やっぱりな…そうくると思った。 「あっ!俺だけ似てないだろ?違う?」 俺は俺の心に引っかかってる疑問を亜希に聞いてみたんだ……。 『うん。あんまり似てない…』 ショックだった。 俺は無言で部屋に行って小さい時のアルバムを引っ張りだしてきた。 「でも、俺、ここの家の子だよ!見て、これ」 俺は生まれたばかりの、病院で写した、俺と父さんと母さんの写真を指さした。 『幸ちゃん、ごめん。あたし、そんなつもりで言ったんじゃなくて…』 亜希は泣きそうな顔していた。 「冗談!」 俺は笑って、ごまかしたけど、内心はズタボロだった。俺だって似てないって気づいてたから…
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