act.2

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夢を見た。 俺が小さかった時の記憶だった。 『お母さん!僕、これやりたいっ!!』 『あら、ダメよ。金魚すくいなんて。ちゃんとお世話出来ないでしょ?』 『ちゃんとするもんっ!!お母さんお願い!』 そうだ。 俺はどうしても金魚すくいをやりたくて、出店の前で駄々こねてたな。 今となっちゃあり得ない話だけど。 しゃがみこんだ俺に母さんは困った様子でこう言った。 『ならお母さんと約束して。もし一匹でも捕まえれたらちゃんと世話をする事。良い?』 『うんっ!!』 そして、金魚すくいをやった。 俺はどれにしようか迷って、他の金魚とは違う様に見えて、ひらひらした金魚を追い掛けた。 でも案の定ポイは破れた。 破れたポイを見ながら涙ぐむ俺を見た金魚すくいのお兄さんが、 『お兄ちゃんはどの子が気に入ったんだ?』 と聞いてきたから俺は迷わず追い掛けた金魚を指差した。 そしたらお兄さんは、よし、と言ってその金魚を掬ってくれた。 それが凄く嬉しくて、俺は満面の笑みでお兄さんにありがとうと言って、その日に母さんと金魚鉢を買ってもらい帰った。 金魚鉢と酸素ボンベと、そして色とりどりのビー玉を買って。 .
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