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時代はまだ戦乱の世。
大阪にある大きな城の中で一人の青年が辺りを見回していた。
誰かを探している様だ。
「姫、何処に居るのですか?」
青年は、はっと思い付き歩いた。
着いた場所は池の見える縁側。
そこには綺麗な黒髪を腰くらいまで伸ばし、ピンクの花柄をあしらった着物を着ている少女が居た。
「姫、やはり此処でしたか。探しましたよ。」
「なぁんだ瑞幾(ミズキ)かぁ~。つまーんなーいの。」
「姫!!某の事をその名で呼んではいけないと何度もおっしゃったでしょう!!」
「あは、いいじゃない。私が良いって言ってるから良いの~」
少女は瑞幾と呼ばれた青年をからかう様に言った。
しかし瑞幾も満足そうだ。
瑞幾はこほんと咳ばらいをした。
「掬(キク)様がお呼びになっておりますよ。」
「えぇ~……私掬の勉強嫌いなのにぃ~」
少女は口を尖らせた。
「ですが……」
少女は瑞幾の言葉を遮った。
「じゃあさ、私と少しだけ話そ?」
瑞幾は少しですよ、と呆れながら言った。
「わぁい。えーっとね……――――――」
少女の言葉に、瑞幾は黙って耳を傾けた。
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