始まりの話

3/7
前へ
/325ページ
次へ
駅に着く手前で、握っていた手をゆっくりと離した。 その瞬間に、残念そうな顔で結花が俺を見つめる。 「帰りにまた繋いでやるから。そんな顔すんな」 「うん。絶対だよ?」 「ああ」 駅に中に入ると、彰二が一人退屈そうに欠伸をしていた。 そんな彰二に 「よっ。また会ったな」 と、声を掛ける。 すると彰二は、こちらを振り向き 「偶然だなー」 と、少しだけおちゃらけてみせた。 そんな彰二を見て、隣で結花がくすくすと笑う。 「あれ? 結花。今日は学校サボらないのかよ?」 と、再び彰二がおちゃらける。 すると結花は、若干赤くなりながら微笑み 「うん。もう大丈夫」 と言って、少しだけ俺にもたれかかった。
/325ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3347人が本棚に入れています
本棚に追加