始まりの話

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とりあえず、こいつが満足するまでこの姿勢でいるかと思ったが、違和感に気づいた。 規則正しく震える結花の身体。微かに聞こえる呼吸の音。 「寝てんのかよ……」 ゆっくりと結花を俺の胸から離すと、案の定寝ていた。 俺は結花を抱き上げて布団の上に下ろす。 その横に俺も横たわる。 改めてゆっくりとこいつを見ると、本当に美人な女だ。 下手すりゃ、テレビに出てるアイドルにも負けないぐらいに綺麗だ。 何より、すっぴんなのにきめ細かい白い綺麗な肌。染み一つない。 整った薄い眉に、長いまつ毛。筋がきちんと通った小さな鼻と、思わず唾を飲み込む艶っぽい唇。 さらさらの、枝毛一つない黒い髪の毛。髪の毛は本当に真っ黒なのに、瞳の色は綺麗なブラウンだ。 細い身体のライン。今まで意識はしなかったが、腰のラインは女特有の丸みを帯びた形。胸も、出会った時より大きくなり、Tシャツの上から綺麗な形を見てとれる。 「夢みたいってな……」 思わずそう呟く。 それはこっちの台詞だと思う。 昔は他人なんかに興味もなかった。寧ろ、ほぼ全ての奴に嫌悪感を剥き出しにしていた俺を、こんな美人で素直で純粋な女が好きになってくれたこと事態、俺にとっては現実離れし過ぎている。 俺は結花の頬を人差し指でつついてみた。 弾力がある柔らかい頬。あまりの柔らかさに驚き、つい 「柔らかっ」 と、呟いてしまった。
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