プロローグ🍒

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「ねぇ、  お聞きになって?」 「あら。何をですの?」 「伯爵のご婚約の話よ」 「伯爵って…  どちらの伯爵?」 「あら。わたくし達の間で  伯爵といえば、  ロードカム伯爵に  決まっていてよ」 「まぁ。あの方、  ご婚約なさったの!?  それで、どちらの  お嬢様ですの?  その、憎らしい方は…」 「それがね…、  なんとアニバール国の方  ではないんですって」 「あらまあ。でも、  どうして急に  そんな方と?」 「それが、急なものでも  ないらしいんですの。  なんでも50年も前の、  古いお約束なんですって」 「あぁら。でも、  それならどうして  今まで、噂に  ならなかったのかしら?」 「まあ…。  だってレオナール様の  ご両親はあの、  ロードカム公爵  夫妻ですのよ。  …無理もありませんわ」 「あら、本当ですわ」 「それでその方、  近々こちらに  いらっしゃるんですって」 「ご婚礼…というわけでも  ないんでしょう?」 「ええ。なんでも  足入れ婚だそうよ」 「ずいぶん古めかしい  お作法ね…。まぁ、  国外から嫁いで  いらっしゃるわけだから、  特別に花嫁修業が  必要なのかも  しれないけれど…」 「そうですわね…。  足入れ婚といえば、  嫁ぎ先の家風になれる  ためのものですものね。  …でもきっと、  お披露目の意味もあるんだわ」 「ええ、そうよ。  それにしても…、これから  大変なことになりますわ。  …何人ものお嬢様が、  ハンカチを濡らすことに  なりますもの」 「あら。わたくし達だって  同じですわ」 「そうね…、本当にそう。  …いじめてやりましょうね」 「えぇ…。そのぐらい、  許されますわ」 「それにしても…、  どんな方なのかしら…?」
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