プロローグ

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突然目の前の男が倒れた。 がくり、と膝から地面につくというより、私に倒れ掛かってきた。 それを私はどけ、地面に倒れる男を見る。 後ろから頭部に一発銃弾を入れられている。 出血はあまりしておらず、軽く首元に飛び出た血がついているだけ。 普通横からうてば、このような血の付着はしない。 つまり、横からじゃない。 ならば、上からだ。 私は壁から徐々に上へと視線をずらしていく。 すると、案の定ガラスにひびが入っていた。 ここからじゃわからないが、恐らくその中心には円形の穴があるだろう。 犯人は外から狙撃。 ガラスを完全に割らず、そして下手に出血をさせずに殺した。 ・・・・・・相当の腕らしい。 けど、まだ甘い。 本当の狙撃手ならば、ひびすら入れない。 十七年前、第三次世界大戦の最後の決戦、日本対アメリカ。 お互いの国が駒を使い、アメリカはなんどもチェックした。 けれども、チェックメイトまで行かなかった。
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