プロローグ

7/7
前へ
/144ページ
次へ
今の狙撃手は本物の狙撃手じゃない。 本当ならば、もっと上手くやったはず。 私のような娘に気がつかれることなどないはず。 だけど─── 「ねえ、じい」 「はい。お嬢様」 おじい様の代から、ずっと私の家に使われている老人は返事をした。 数少ない私の信頼できる人だから私は言った。 「ねえ、今度はあれを使ってみない?」 「殺し屋、ですか?」 私は頷く。 演奏はもう終わり、人々はそれぞれ驚いている。 絶望の叫びをあげるものがいれば、逃げ出すもの、死体に寄り添うもの、様々だった。 どうだろうと、私は関心を示さない。 主がそうならば使いもそうだ。 じいはただ頭を下げ、 「今の殺し屋を調べておきましょう」 と言った。 私は笑って、よろしくというだけ。 ・・・・・・久々に楽しめそうな気がする。
/144ページ

最初のコメントを投稿しよう!

144人が本棚に入れています
本棚に追加