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今の狙撃手は本物の狙撃手じゃない。
本当ならば、もっと上手くやったはず。
私のような娘に気がつかれることなどないはず。
だけど───
「ねえ、じい」
「はい。お嬢様」
おじい様の代から、ずっと私の家に使われている老人は返事をした。
数少ない私の信頼できる人だから私は言った。
「ねえ、今度はあれを使ってみない?」
「殺し屋、ですか?」
私は頷く。
演奏はもう終わり、人々はそれぞれ驚いている。
絶望の叫びをあげるものがいれば、逃げ出すもの、死体に寄り添うもの、様々だった。
どうだろうと、私は関心を示さない。
主がそうならば使いもそうだ。
じいはただ頭を下げ、
「今の殺し屋を調べておきましょう」
と言った。
私は笑って、よろしくというだけ。
・・・・・・久々に楽しめそうな気がする。
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