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連れていかれたのは近くの市民病院の前だった。 「ここで話するの?」 質問をしたが、岡村ナギサはこちらには反応せずに、病院の上の方をただ見上げたまま喋りだした。 「私もお父さんいないんだ。」 「え…」 「お母さんも今この病院で入院してるけど、多分もうダメだと思う。 先生が後1ヶ月ももたないて言ってたから。」 「…」 何か言うべきだと思ったが、言葉が口から出て来なかった。 「私てこんな性格じゃん?友達もひいちゃうくらいの生真面目。 昔はこうでもなかったんだけどね、お母さんが入院してから、お母さんが病室で毎日、ウソはダメ、真面目に生きなさいて言われ続けてきたから…こうなったんだと思う。 真面目にしてればいつかお母さんの病気が治る気がしてたのかも」 色々言う言葉を考えたが、一番聞きたいことを聞くことにした。
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