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修介「唐辛子だな…。」
涼「……うん。」
かじる度に口内で辛味が増してくる赤胡麻団子を片手に呟き合う二人。
赤胡麻団子は試食用にも関わらず大きかった。テニスボール大の赤胡麻団子をかじり始めてから数十分、未だに2/3しか食べれていないのだ。
修介「腹一杯なのにコレは無いよな。」
涼「…うん、そうだね。」
涼が答え、また一口かじる。
…そこで涼がふと思い出した様に再び口を開いた。
涼「そういえば…。」
修介「何だ?」
涼「用事、って……何だったの?」
修介「…………え?」
信じられない、と言った風な素頓狂な声。
無理はない。
修介「え、と…。 ……何て言えば良いんだ? 用事はその、志波と出掛ける…って言う奴で。もう用事は済んだ? ……ぁ、いやまだだけどー…。」
もっと二人だけの時間が欲しい修介は、何と答えれば良いのか悩む。
涼はそれを、不思議そうに眺めていた。
修介は『デート』が用事だと思い、涼もそれを分かっているのだとばかり思っていた。
涼に対する好意がバレ兼ねないと、は思ったが、修介はソレがそれほど羞恥を感じない人間だった。
涼は諦めた。深く聞く度に訳が分からない言い訳を聞かされていたからだ。
修介が混乱している。と判明した時に涼の興味は、既にふと頭に浮上した疑問に向いていた。
修介「――には其ほど興味が無くてな? でも、それじゃつまらない.って言うかっ!」
涼「………………ねぇ。」
修介「……あへ?」
涼「…今私達って、こんな事してる場合なのかな……?」
修介「………どう言う意味だ?」
涼「小説の話。弧亜の奴、プロットじゃ今私達の出番…。」
修介「《粗人形》の話か。」
涼「動作テストするならキャラクター削れば良いのに。」
修介「弧亜には厳しいな。…んまぁ、志波が言うように動作テストなんだろうが。」
涼「アイツ、ダサい。」
修介「出番無いとストレス溜まるよな……。あはは。」
露骨でレアなストレス雰囲気の涼に気を遣う様に苦笑を見せる。
涼は「ネタが無いなら書くな。」とそう呟いて、冷めた赤胡麻団子を一呑み口に放り込む。
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