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「へぇ…なかなか俺のことを詳しく知っているらしいな…誰だ?」
「…ルイナ・グロリア・ソルフィア様だ」
ルシアンはその名を聞いた瞬間、今までのふて腐れたような態度が一変した。
「ルイナって…あのルイナか!?」
ルシアンが驚く理由は二つある。
一つ、ルイナ・グロリア・ソルフィアというのは、この国の王、バートのたった一人の娘であった、一般人ではまず、お近づきになることすらあり得ないほどの高貴な身分であること。
そんな人がわざわざ呼んでいる驚かないわけがない。
二つ、ルイナ嬢はルシアンの幼い頃からの知り合い……つまり、幼馴染みにあたる存在だからだ。
「そうだ…あの方は私が貴様に招待状出すととき私に、先ほどのことを言われた。さすがに貴様が本当に断るとは思わなかったが…」
「……ん?まてよ、ならルイナは今、アルバースにいるのか?」
「…今ここにいることは一般人には内密にすることなのだが…
まぁいい、確かにルイナ様は今、駐屯地にいらっしゃる」
「本当にいるのか!?」
「あぁ、くれぐれも他人には言うなよ?もし言ったときは、それなりの罰は覚悟しておけよ?」
「わかっている…。
そうか、ルイナが…アルバースに今いるのか」
ルシアンは久しぶりにその幼馴染みの顔を思い起こした。
城にいたころの懐かしい思いが急に込み上げてきた。
「どうする?ルイナ様はお前を軍の駐屯地に招くように言っていたが?」
「う~ん」
軍の駐屯地に行けば、必ず軍に勧誘されることは間違いはない。
しかし、久しぶりに聞いた、懐かしい名前はルシアンの決断を迷わせた。
「…まぁ、ゆっくり考えることだ」
兵士は再び先ほどの便箋をルシアンに押し付けた。
ルシアンが思わず条件反射で受け取ってしまうと、兵士はルシアンの家を去っていく。
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