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夜の公園に着いて
ぼくは手に持っていた懐中時計に目をやった。
時刻を見ると
時計の針は
夜中の3時を指すところだった。
虹はもう消えていて
夜の空は真っ黒だ
僕は懐中時計と
切符をポケットに入れ
その上からぎゅっと
手が汗ばむくらい握り締めた
夜の風が全てを
溶かしてしまいそうで
不安だったのかもしれない。
「もうすぐだね」
眠そうな声で
蜂蜜色のお月様が
優しくそう言った
「うん
なんだか今日は1日が
とても早かったよ 」
「帰って来たら
お茶でもしようか。
3人で飲むアップルティーは
きっと格別に美味しいだろうね」
「うん きっと」
なんだかひどく安心してしまった。
ほっとして空を見上げたとき
列車と共に汽笛の音が遠くから近付いてくるのが見えた。
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