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これが初めてではないメイサにとってはもう慣れっこであるとはいえ、今見ている光景には溜め息が零れた。
彼女の言う通り、広すぎる。
……汚れ、または散らかっている範囲が。
厄介な事に、図書室自体もそこそこな広さをもつ為、それが更にメイサを悩ませた。
「……それでもやるしかないね」
そう自分に言い聞かせ、まずは散らかった本の整理に取り掛かる。
一体全体誰が読んだのか、本は机にも床にも乱雑に散らばっていた。
もしこの場にそうした犯人が居たのなら、即行でモップを叩きつけるんだろうな、とメイサは思う。
(本っ当に誰がこんな……。
まさか、【ご主人様】?)
屋敷の持ち主でありながら、その姿を現さないご主人様。
メイサは勿論、使用人の誰一人として顔を見たことがないのだ。
(んなわけないか。だって……)
だって、ご主人様は子供向けの物語なんて読む筈がない。
散らばっている本は、ものの見事に童話や絵本ばかり。
メイサは怪訝に思いながらもそれらを本棚に収めている内、ふと一冊の本が目に入った。
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