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薄汚れたエプロンと三角巾を身に着けた女性が雑巾掛けをするイラストが載った表紙。 題名は、『シンデレラ』 「…………」 “私達は囚われた哀れなシンデレラ” 文字を読み取った瞬間、アイリス達の台詞が耳の奥に蘇る。 そして、整頓をしていた片腕を止め、一言。 「……アイリス[アイツ等]か」 未だに手放さないモップをギリリと握り締めながら、『シンデレラ』を棚に収めるその姿は、今にも本棚ごと突き倒しそうなほどの凄みがあった。 唯一の救い(なのだろうか)は、犯人であるアイリスの罰掃除場所が屋敷のトイレ全てであるのを知っている事だろう。 (あいつなんか一生働きゃいいんだよっ) メラメラと燃える熱を飛ばすように、心の中で吐き捨てたメイサは、ふと窓を見る。 「……夢は、夢のままなんだよ」 そろそろ顔を見せ始めた太陽が照らす外の風景に、ポツリと呟いた。 「……解けちまう魔法なんて、夢が叶った事になるわけないんだ」 あたしの居る場所から、突然居なくなった二人のように。  
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