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「…………さん…………往人さ…………」
……声が、聞こえる。
……とても懐かしい声だ。
次第に、声は近くなってくる。
「……………往人さん!」
その頭の奥から聞こえてきていたような声は、はっきりと俺の耳元に聞こえた。
「………うう………み、観鈴……?」
……頭が朦朧としている。まだ意識がはっきりとしていない。
「……わあ!往人さん、生きてたんだね……よかったぁ……」
だんだんと意識が戻ってきた。目の前の少女が、座ってこちらを見ている。
周りを見ようとして、やっと自分が寝ているのだということに気がついた。
上半身を起こして、少女のほうを見た。
……俺は、この少女を知っている。
「……観鈴!?」
信じられないことだった。
俺の目の前に……観鈴が居る。
確かに、生きて……ここに居る。
そして……俺も居る。
………どういうことだ?
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