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商店街。
この街で最も人が賑わう場所だ。
昼時である今頃になると、スーパーの買い物客や子供たちで、さほど多くはないが賑わいを見せていた。
―――しかし。
「………誰も……いない……」
人がまったくいなかった。
そう、一人も。
「………みんな、どうしたんだろう?」
辺りを見渡した。
この街一番の大型スーパーも閉まっている。
いつも常連客で賑わう定食屋にも人影がない。
時間を問わず人集りができる小型の電器店の店頭のテレビも点いていない。
……本当に、どうしちまったんだ。
「とりあえず、知ってる奴をあたっていってみよう」
「……う、うん」
観鈴も違和感を感じていたのか、だんだんと不安な表情になっていた。
知ってる奴、と言っても、俺も観鈴も人脈は広くない。
観鈴に至っては俺と晴子さんぐらいなものだが、今はそんなことは問題じゃない。
思いつく奴からあたっていく。
…きっと、誰か居るはずだ。
そう思っていた。
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