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何故こんなにも機嫌が悪いかと言うとだが、
昔から住んでるスラム街の砂埃が凄いからでも、
家の前を通る馬車がガタガタ煩いからでも、
家の周りの犬どもが発情期でうるさいからでも、
朝っぱらから家の前でイケメンが女の子に声をかけていたからだ。
そこに向かってみると俺が大っ嫌いなサラサラのストレートな金髪に場に似つかわしくない白を貴重としたドレスにヒール、目の大きな明らかに金持ちのナリをした女が居た。
本人はそれなりに可愛い、しかし可愛い子が口説かれていたから、もしくは相手がイケメンだったから機嫌が悪くなってる訳じゃない。
声を掛けている奴に明らかに見覚えがあったからで、そいつがそんな事してるはずが無いからだ。
今日、一緒に仕事に行くはずだった、馬鹿約一名だ。
「こんっの馬鹿がぁ」
と俺が叫ぶと俺が叫ぶと俺に気づいたらしく、
「やべっ。兄貴に見つかっちゃったか」
と長いサラサラの金髪を後ろでまとめていた、長身の正に容姿端麗という言葉がぴったりな男が女の子からこっちへと残念そうに体を向けた。
この男の名前はライ。
恥ずかしながら俺ことハルの弟分だ。
俺はライに呆れながらこう言った。
「お前またやってんのかっ。」
ライはバツが悪そうに頭を掻きながら、
「ちょっと前に大騒ぎになったばっかりだし、ただの人助けだよ。それにハル兄貴に怒られたのに、すぐまた同じ事やる奴何て、ここらには居ないよ。」
俺は安心し、ライにもう一度言い直した
「人助けねぇ。お前らしくないにも程があるけど本当か?」
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