ある書物から

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この世界には創世紀と呼ばれる時代があった。 神は精霊を創造し、大地を、草木を、水を、生み出した。 そして、最後に創ったと言われているのが人間である。 人間は言語を持っていなかった。なぜならこの時は必要ではなかったからだ。 しかし、人間は知恵をつけはじめた。やがて、知識を吸収すると声を発し始めた。 声を発し始めると謳を造りだすようになる。  謳は 風に乗り 水のように浸透し 大地の如く雄大で 火のように猛々しく 光が溢れ 空が広がるように 氷が凍るように 木が茂るように 雷が轟くように 闇が覆い隠すように 時と幻が世界を創造する。 そして…… 謳は詩となり、謳えば力となる。 これは謳の世界「ル・アランドール」の物語である。
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