熱海

4/4
前へ
/15ページ
次へ
その途端に―バシッと何か物を叩く音がした。 「何が願いだっこのスケベ野郎が…さっさと風呂に入ってこいっ!」  真っ赤に顔を染めて、晃司を睨んでいる泉は怒鳴ってテレビに視線を変えた。晃司は仕方なく、さっさと温泉に向かっていった。 そして、出てきた頃には泉は身体を横にして、寝息を立てていた。 それを見た晃司は、風邪をひかないように泉を抱え上げて、隣の部屋に敷かれた二組の布団に連れていく。片方に寝かせて薄い掛け布団を身体に掛けると、その拍子に寝返りを打ち額を曝した泉に顔を寄せて、優しく口付けた。 顔を上げた晃司は愛しそうに泉の安心仕切った寝顔をみて、笑みを浮かべた。 しばらく一人酒をした後に晃司も布団に入って、泉の隣で静かな寝息を聴きながら眠りについた。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

30人が本棚に入れています
本棚に追加