少女と赤のビジョン

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  曇り空に靴が片方浮いていた。     それはゆっくりと地上に落ちる。   と 同時に 地上から5歳くらいの女の子が手放した赤い赤い風船が宇宙を目指して空に落ちる。       ヘリウムガスの重心は宇宙にあって、 いつかは宇宙に落ちるのだけど 乱雑に爆発した赤いゴムは ゆっくりと、   やさしみの鯨の胃の中に吸収される。       少女が空に身を預けた日   二つの赤が 死んだ。
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